妙高火打周辺(新潟) 容雅山(1489.5m)、高所山(639.6m) 2019年4月6日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 5:10 林道入口−−5:48 除雪終点 5:50−−6:36 矢代川第三発電所(スノーシュー装着) 6:42−−7:04 720〜715m台地 7:21−−7:31 澄川右岸−−7:43 澄川を渡る−−9:05 休憩(標高1050m肩) 9:25−−11:13 容雅山(休憩) 12:00−−11:59 澄川−−13:46 矢代川第三発電所−−14:26 林道を離れる(標高590m)−−14:42 高所山(休憩) 15:30−−15:43 林道−−15:45 除雪終点 15:49−−16:08 林道入口

場所新潟県妙高市/糸魚川市
年月日2019年4月6日 日帰り
天候
山行種類残雪期の籔山
交通手段マイカー
駐車場路側に駐車
登山道の有無発電所送水管以降は無し
籔の有無積雪のため藪は皆無
危険個所の有無標高1170〜標高1260mは急斜面で雪質によっては滑落注意
山頂の展望容雅山:大展望  高所山:展望悪い
GPSトラックログ
(GPX形式)
ここをクリックしてダウンロード
コメント矢代林道より矢代川第三発電所経由で往復。林道は予定より除雪が進んで楽できたが、山は予想以上の新雪積雪でラッセルの連続。しかし好天に恵まれ大展望を味わえた。澄川/北桑沢出会付近は流れが出てしまい、唯一の弱々しいスノーブリッジを渡ったが1週間も持たないだろう


矢代川第三発電所上部から見た容雅山
地図クリックで等倍表示


林道入口の車止め 除雪作業が終わったら入れる?
車止めに施錠はされていない 路側に駐車
除雪終点より手前に重機が置いてあった 重機置場は「一号堰堤進入路」の表示
除雪終点。追い越された車あり 除雪終点の表示。地形図の破線らしい
この先に林道が続く 矢代川第三発電所往復用
林道にはスノーモービルのトレースあり 車の主は途中で左の斜面へ
矢代川へ下り始める箇所の建物 やっと容雅山が見えた
スノーモービルはここでUターン 矢代川第三発電所
揺れる吊橋で濁俣川を渡る 足跡は発電所入口へ
派手に雪解け水が流れる階段を登る 古いスキー跡が続く
最初からスノーシューでこの程度潜る新雪 最初は細い尾根を登る
導水管に達し、その脇を登る 振り返る
720〜715m台地に到着。しばらく横移動 熊棚多数のブナ
720〜715m台地西端 台地から澄川右岸へ下る
澄川/北桑沢出会。北桑沢は雪の下 澄川にスノーブリッジは無く高巻きして上流へ
高巻き箇所から危ういスノーブリッジ発見 ここを渡った。たぶん1週間は持たない
少し上流のスノーブリッジはもっとヤバい 澄川右岸の高巻きを振り返る
スノーブリッジを渡った後。落ちなくてよかった 広い斜面を適当に上がる
標高850m付近。相変わらず重い新雪ラッセルが続く 標高890m付近
標高1030m肩に乗る 標高1040m付近
標高1050m肩で休憩 熊の木登りの跡。昨年のものではない
標高1090m付近 標高1170mで樹林帯が終了。急斜面に突入
標高1220m付近。一時的に傾斜が緩む さらに登る。上部に雪庇とクラックが見える
クラックの左端を迂回して登った 標高1270m肩を越えて傾斜が緩む
標高1320m付近 標高1320m付近から振り返る
標高1450mでスノーシュー再装着 あのピークが山頂
1460m峰から見た容雅山〜大毛無山
山頂直下は小規模な雪庇 雪庇を越えると容雅山山頂
容雅山から見た360度のパノラマ展望写真(クリックで拡大)
容雅山から見た北側の展望
容雅山から見た南側の展望
容雅山から見た海谷山塊の烏帽子岳、阿彌陀岳。今年のうちに登りたい場所
登ってきた東尾根 気温はほぼ0℃
容雅山から見た不動山山頂部 山頂雪庇直下で風を避けて休憩
容雅山北東斜面。スキー向きだ 復路も東尾根を辿る
下りはスノーシューでもこれだけ潜る。ツボ足では地獄 標高1270m肩直下のクラック迂回地点
クラック迂回地点。見上げるとこんな傾斜 傾斜がきつい箇所は雪玉が多数落下
傾斜が緩んでスノーシューへ 標高1100m付近。狐の足跡が並走
標高1100m付近から見た1270m肩直下のクラック 標高940m付近でカモシカに遭遇
カモシカが立っていた場所 逃げたカモシカの足跡。歩幅が2m以上あった
帰りも同じスノーブリッジを渡れた 往路の足跡を辿り720m台地へ
斜面をトラバース 720m台地西端
720m台地西端から振り返る 導水管へ合流
導水管から1460m峰を見上げる。我がトレースがバッチリ見えている
場所によっては積雪はこの程度しかない スノーシューで急斜面は表層ごと滑った
往復の我が足跡 スノーシューを脱いで吊橋を渡る
スノーシューを付けて林道歩きへ 雪に埋もれた林道
往路では無かった新しいスキートレースあり 矢代川右岸台地に乗る
林道起点からの距離表示か 高所山へ向けて林道を離れる
小尾根を越えて主尾根へ取りつく 主尾根に乗れば山頂は目の前
奥のピークが高所山山頂 高所山山頂。南を見ている
高所山山頂から北を見ている 高所山西の肩から北へ延びる尾根を下った
平坦地に出る 高所山を振り返る
林道へ出る直前に沢あり。スノーブリッジで越える 林道に乗る
高所山方面を見ているが見えない 除雪終点着。固い地面歩きは格段に楽
林道入口到着


 容雅山は私にとって長年の課題の山であった。ネット検索で山スキーではそこそこ有名どころだと知っていたが、いかんせん冬場はアプローチが悪いのが難点。一般的には矢代川沿いの林道終点から吊橋を渡って矢代川第三発電所に至り、濁俣川と澄川に挟まれた尾根を通って澄川/北桑沢出合に至り、北桑沢を遡上して北東斜面経由で山頂に至るようだ。問題は林道歩きの長さ。昨年の経験で矢代川沿いの林道は矢代川第一発電所入口までしか除雪されていないことが分かったが、そこから第三発電所まで約4.5km。雪質にもよるだろうが歩きの方が疲労度は大きく、締まっていない時期はさらにスキーとの差が開く。かといって雪が締まった遅い時期にすると澄川のスノーブリッジが消えて遡上距離が長くなってしまう。両者のバランスが取れる時期及び天候の選択がキモとなろう。

 しかし今年の春は寒気が頻繁に入って毎週のように新雪が積もった。今週もまた長野市内で雪が降ったくらいで、標高がさほど高くない容雅山でも積雪は確実だろう。ただし中1日で晴れたため日当たりのいい場所は雪が締まった可能性がある。他に残雪期に登りたい山はあるがもっと標高が高く、ラッセルがきつい可能性が高いため容雅山に決定。せめて林道には新雪が無いことを祈ろう。

 長野から妙高は近い。国道18号線を北上し上信越道中郷ICを過ぎて左に入り、西菅沼新田集落経由で林道に入る。予想通り林道は除雪されて順調に進み、矢代川第一発電所入口に到着。この先も林道は除雪されているが一般車進入禁止の標識と車止めがかかっているので、前回同様にここからスタートとなる。このまま車中泊だが外は強い雨と雷でろくでもない天気。しかし温かい雨なので雪が締まる方向でいいことだ。夜半には雨が止んで薄雲の向こうに月が見えるようになった。

 出発の朝はそのまま薄曇りだが、天気予報では本日は快晴。弱い寒気が入って気温は低めとのことで、昨夜の雨と合わせて雪質は多少期待できそう。と言いながら念のためにスノーシューに軽量の10本爪アイゼン、ストックに軽ピッケルを持つ。それと今回は新品の登山靴。今使っている靴はゴアの防水層が劣化して水漏れが激しく、雪が解けない冬場は問題なかったが残雪期は毎回靴の中が濡れてしまうので新調したのだ。しばらくは残雪の山専用で、劣化した靴は無雪期用に使おう。靴底の摩耗が進んでいるが、今シーズンくらいは何とかなるだろう。

 林道入口の車止めロープは施錠されていなかったが素直に歩く。除雪された道路の歩きは楽でいい。昨年は矢代川第二発電所入口まで除雪作業中だったが、今年はほぼ同じ日なのに除雪はまだ先まで続いているのはラッキーだ。まさか第三発電所まで除雪したかと期待したが、標高530mで破線が右に分岐する箇所で除雪終点だった。第三発電所までの残距離は2km弱なので、予定よりかなり楽ができたし、帰りもかなり楽になる。この時期はまだ雪が締まり切っていないので、長い林道歩きはきついのであった。

 林道歩きの最中に1台、地元ナンバーの軽ワゴン車が上がっていったが、その車が除雪終点に駐車してあり、中は既に空。そして未除雪の林道の続きに私と同じMSRのスノーシューの真新しいトレースが2人分続いていた。車の主の足跡だろう。残置されたスノーモービルが2台あるが使っていないので、これの持ち主ではないらしい。

 林道の雪はスノーモービルのトレース上は良く締まっているのでスノーシューの出番は無い。全く沈まなわけではないが、スノーシューの重みを考えればここはツボ足が正解だろう。スノーモービル跡は地形図で林道の道幅が狭まる場所まで続いていて、そこでUターンしていた。スノーシューのトレースは途中で左の緩斜面に上がっていて行先は不明だ。

 これまでは平坦な地形が続いたが、急斜面に付けられた林道を矢代川へと下っていく。スキーのトレースが登場。こんな場所は林道が雪に埋もれて急斜面と同じ傾斜と化して危険地帯になるのだが、ここはそこまでの傾斜は無いし、雪は足首程度まで潜るので滑落の心配はない。最後は林道をショートカットして濁俣川にかかる吊橋に到着。立派な橋で一般人立入禁止の看板も無く、発電所専用というわけではないようだ。濁俣川は川幅が広く水量が多いし、スノーブリッジは皆無で吊橋が無いと発電所に渡るのは不可能。おそらく真冬でも同じだろう。

 意外にも足跡は発電所の建物のドアの前で消えていて、関係者のものだったようだ。こちらは建物裏手の尾根に上がるために右手の階段を上がる。階段は雪解け水で小規模な滝と化していた。階段先の雪に乗ると足首まで潜るようになり、このまま長距離歩くと疲労は確実なのでスノーシュー装着。かなりマシになった。

 尾根には新雪に埋もれたスキー跡あり。容雅山に行ったスキーヤーのものだろうか。新雪の下なので先週末以前のものだ。最初は広い斜面を登るとブナの生えた細い尾根に変わるが、どうやら送水管の巡視路が通っているようで藪は無い。送水鉄管脇に出れば広い斜面に変わる。標高650〜710mは傾斜がきつい区間で、スキー跡はほとんど雪に埋もれた送水鉄管沿いに直線状に延びているので、下りのものらしい。この傾斜はスキーで登るのはきついだろう。私は送水鉄管の左側をまっすぐ登ったが、最後は結構な傾斜であった。残念ながら雪はほとんど締まっておらず、スノーシューでも足首まで潜る。古い雪ではなく2日前の新雪に違いない。山頂に向けて徐々にラッセルがきつくなると思うが、体力が持つだろうか。約1か月前の高杉山と同じレベルのラッセルだと相当時間がかかるだろう。

 傾斜が緩めば標高710m〜720mの平坦な台地に乗り、途中で送水鉄管と分かれて平坦地を西へ進む。スキー跡も同じ方向に進むと思いきや、地形図の破線の小さな谷の方へ向かっていた。いや、正確には谷の方から滑降していた。ということは黒沢ヒュッテ方面から下ってきたことになる。容雅山よりもそちらの方がありがちかもしれない。

 まっさらな新雪上にスノーシューのトレースを延ばしていく。尾根の途中にあって本当に平らな場所でなんとも不思議な場所で、いかにもトラバースして下さいと自然が準備してくれた地形だ。ここは大きなブナが林立し、中にはいくつもの熊棚を持つものがあった。ここのブナは熊棚ではなくヤドリギがやたらに多いのが特徴。

 「台地」の西端に至ると傾斜がきつくなり、スノーシューでのトラバースは足首に大きな負担がかかるし、澄川/北桑沢出合はもう近いので隅川右岸に下ることにする。さて、スノーブリッジは残っているだろうか。ここから見下ろす澄川には全くスノーブリッジは見えない。スノーシューのまま雪の急斜面を下って澄川右岸に達するが川幅が広く、スノーブリッジは皆無であった。水量も多く渡渉はとても無理。北桑沢出合まで進んでもスノーブリッジは無かった。すぐ対岸に見えている北桑沢は雪に埋もれているのに・・・・。

 仕方が無いのでスノーブリッジが現れるまで澄川右岸を遡上することにしたが、すぐに岸が切り立って遡上不可能な個所が登場、高巻きするしかない。こんなことが何回もあるようでは体力を削られるなぁ。傾斜はきついが新雪の沈みが大きいので、スノーシューのままでも意外と歩きやすかった。下りにかかるとうまい具合に眼下にはスノーブリッジが見えるがかなり細い。しかしぱっと見た感じでは厚みは十分で、人間一人くらいは支えられそう。でも1週間後も残っているかと聞かれれば、それは無いだろうと思える程度でしかなかった。

 再び隅川の右岸へ降下、この付近は流れが二分しているようで、本流のスノーブリッジの前にもう一つスノーブリッジがあったが、こちらは流れの大半が雪の下でスノーブリッジは大きく頑丈だった。本流のスノーブリッジ前に来たが、これがまた幅が狭くて本当に崩れないか心配になるほど。ブリッジ下の流れは速く強く、ブリッジが崩落すればろくでもないことになるのは確実。かなり心配なので上流にもっといいスノーブリッジが無いか確認しにいったが、200mほど上流に見えたスノーブリッジはさらにヤバく、とても渡る気はしなかった。さらに上流に進むには再び高巻きが必要で、さっきのスノーブリッジを渡る意外に手段は無いので逆戻りし、体重を分散するためスノーシューのまま恐る恐る渡ったが底が抜けることはなかった。今回のルートでの核心部はここであろう。

 ここで地形図を広げてルートを検討。当初は山スキーの記録を参考にして、同じように北桑沢経由で登ろうと考えていたが、日当たりの悪い谷間や北斜面ではラッセルがきつそうであり、東尾根を登るのが正解と思えた。澄川右岸へ下った斜面は雪の潜り方が深かったのがその理由だ。昨日の晴れのおかげで日の当たる場所は当たらない場所よりも雪が落ち着いているようだ。

 目の前は尾根形状を成さない広い斜面だが、地形図を見るとどこを登っても容雅山東尾根に達するのでルートを気にせず適当に登ればいいようだ。登りやすいできるだけ傾斜が緩い箇所を繋ぎながら高度を上げる。潜り方はスノーシューで足の甲程度で、このレベルのラッセルなら大きな問題は無かろう。結果的にはこの先は高度が上がってもスノーシューなら足首程度までしか潜らず、高杉山と比較すればかなりマシなラッセルだった(疲れたが)。もちろん、締まった雪なら快適だっただろうが。尾根上は傾斜がきつくなるまでずっとブナ林が続く。

 1036m標高点は肩に位置するが、ここで初めて雪庇らしい雪庇が登場。そろそろ出発して4時間が経過し、ラッセルで疲れたこともあり1050m肩で休憩。冷たい北寄りの風が吹いているので雪庇の南側の一段下がった場所で休憩。風さえなければ日差しがあれば体感的には適度な温度だった。休憩箇所のブナの幹には熊が木登りした爪痕が残っていたが熊棚は無かったので、少なくとも2年前以前の木登りの跡らしい。

 1080m肩直下は雪庇が連なり急な登りだが、雪が沈むのでスノーシューのまま突破可能だった。再びなだらかな尾根を進むと標高1170mから斜面の傾斜がきつくなるので、ここでスノーシューを脱いでアイゼン装着。ここを境にして背の高いブナは消えて広大な雪の斜面に変わる。新雪でアイゼンだと脛くらいまで潜るため、アイゼンを装着するまでも無く滑落の危険はほとんど無いのは助かる。

 一直線に急斜面を登っていくと上方にクラックが登場。標高1260m肩直下らしい。ここはかなりの傾斜で少しのクラックでも越えるのは難しいため、クラックの左端から迂回することに。でも新雪の下に隠れたクラックがあって片足が股まで落ちる。まあ、これも想定の範囲だが。傾斜がきつすぎて足元がなかなか決まらず苦労したがピッケル併用でどうにかクリア。もっと大きく迂回した方が楽だった様だ。

 クラックを突破すると傾斜が緩んで肩状の地形に出る。明瞭な雪庇にはなっていないが、クラックは雪庇直下に入っていた。傾斜が緩んだとはいえ、まだそこそこの傾斜がるのでスノーシューは我慢してアイゼンのまま重い雪をラッセル。高度が上がるともっとラッセルが深くなるかと思ったが脛程度のままで助かった。

 1260m肩より上部もほぼ立木皆無の尾根が続く。北側斜面も同じように立木はほとんど無い大雪原で山スキー向きである。標高1440mで一気に傾斜が緩みスノーシューに変更。沈み込みは足の甲程度に減少してラッセルが楽になった。緩やかな1460m峰を越えて尾根幅が狭まった鞍部を通過すると再び尾根が広がり、立木皆無の山頂へとへ突き上げる。山頂直下で緩やかな雪庇ができているがこれは簡単に越えることができ、その雪庇が容雅山山頂であった。

 山頂は立木皆無で展望を邪魔するものは何もない。周囲の山はどこも真っ白。残念ながら火打山周辺は雲がかかっているがそれ以外は見えている。昨年秋に登った不動山山頂は東に向けて大きく雪庇が張り出しているのが見える。その右手の大毛無山も真っ白。不動山の左側には鉾ヶ岳。さらに左には海谷山塊の烏帽子岳、阿彌陀山が続く。後立山は残念ながら火打山のすそ野に隠されて見ることはできない。

 雪庇を越えた容雅山山頂部はこれまでとは雪の状態がガラリと変わって、ウィンドクラストして全く沈まなかった。よって風が強く寒すぎて山頂での休憩は不可能で、風が避けられる山頂の雪庇の陰で休憩。この天気だと山スキーに適した妙高火打界隈は賑わっているだろう。でも澄川のスノーブリッジが後退した今の時期になっては、容雅山に山スキーで上がってくる人はいないかも。ましてや私のように歩いて登ってくる人はもっといないだろう。ネット検索では山スキー以外で容雅山山頂に達した記録は無雪期!の1件しか発見できなかった。

 休憩を終えて下山開始。同じルートを戻る。下りでは1260m肩までスノーシューで下り、その先の雪壁はツボ足で下った。ここは落とした雪が斜面を転がり落ちて多数の模様を描いてバームクーヘン状に成長していた。積雪の状態によっては雪崩の危険があるが、今回は大丈夫であった。傾斜が緩んで再びスノーシューへ。帰りには狐やカモシカの姿が見られた。そういえば往路では真っ白な兎の姿も。兎は足跡は良く見てもご本尊は簡単には見ることができない。

 日差しで雪が緩むと急傾斜ではスノーシューが滑ってスキー状態。できるだけ傾斜が緩い場所を下ったりバックで下ったりしてクリア。往路で澄川を渡るのに使ったスノーブリッジはまだ無事だったが、なんとも頼りない。澄川右岸を高巻きして台地に上がり、最後は送水鉄管の急斜面を下って発電所へ。吊橋を渡るためにスノーシューを脱いで、渡り終わって再装着し林道歩きへ。矢代川右岸をへつるように上がる林道には新しいスキー跡が増えていたが、発電所より上側ではスキー跡は無かったので、発電所の建物に立ち寄っただけだろうか?

 せっかくなので帰りは高所山に立ち寄ることにする。この山は自衛隊演習地に隣接し、その敷地内に入っているのか微妙な位置にあり、現場に行ってみて入れるのか確認するしかない。小さな山なので事前にネット検索しなかったが、下山後に検索したら登山記録は1件も発見できなかった。正確には発見できたが自分自身の記録であった(笑)。林道から近いのにかなりマイナーな山であった。

 この山は顕著なピークではなく尾根の肩であり、しかも周囲の地形は緩やかなので読図が難しい。取り付き場所判断も難しく、できるだけ山頂に近く、しかも下がり過ぎない場所から取りつくのがお得で、標高600m付近を取り付き場所とした。そのいい目印が標高610m付近で分岐する林道だが、現場で確認したがこの林道は雪に埋もれて跡形も無く目印にならなかった。まあ、この事態は想定の範囲内で、周囲の地形、特に林道右側(東側)の斜面の傾斜に注意しながら歩いていて、傾斜が緩み始めた箇所が標高600m地点である。

 右手の緩斜面に適当に取り付くが、一面の残雪で藪は皆無だ。落葉したブナ林で今の時期は比較的見通しが良いのは助かる。緩やかな小尾根を越えると高所山に繋がる主稜線が登場、ここも一面の残雪で藪は無くどこでも好き勝手に歩けるので、比較的傾斜が緩い箇所から主稜線に上がる。

 稜線上は積雪量が減って藪が見えている箇所もあるが、まだ広範囲に雪が覆って藪は隠れている。地形図を見ると高所山は明瞭なピークではなく岬の先端、尾根の肩に当たる場所に位置する。尾根が右に屈曲する場所が小ピークになっているがここは山頂ではなく右に曲がった先のピークが高所山山頂であった。ここまでの間に自衛隊の敷地境界を示すものは何もなかったので、たぶんまだ敷地外なのだろう。

 マイナーな山頂らしく山頂標識は皆無で目印も皆無。三角点は雪の下で確認できなかった。南は神奈山に邪魔されて妙高山は見ることができない。自衛隊演習地も見えているが緩やかな斜面に立ち木が少ない真っ白な場所が広がっていた。 山頂から南北方向に尾根が伸びているが、どちらも雪解けが進んで藪が出てしまっていた。風を避けるため南斜面で休憩。

 帰りは山頂西側の微小ピークに戻り、その北尾根を下って残雪の平原地帯に入り、等高線に沿って水平移動しながら徐々に西に進路変更し、最後は小川を越えて林道へ。まさか林道直前に沢があるとは知らず、スノーブリッジを探して渡る羽目になった。林道から山頂まで600m弱しかないが、山頂の標高差があまりに低いためにブナ林で隠れて姿は見えなかった。

 林道に戻り僅かな距離で除雪終点に到着。往路で追い抜かれた軽ワゴンは駐車したままで主は戻っていないらしい。いったいどこまで行ったのだろう? 休日は除雪作業をしないのか、それとも例年ここまでしか除雪しないのか不明だが、除雪範囲は朝と変わっていないし重機の駐車位置も変わっていなかった。アスファルトの路面はこれまでの雪面とは比較にならないほど歩くのが楽。今年はいい時期に入ることができてラッキーだった。林道入口の駐車箇所に到着、駐車しているのは私の車だけだった。


まとめ
 このルートで核心は澄川の渡渉点。時期が遅すぎると北桑沢合流点よりもかなり上流まで遡上する必要が出てくるが、時期が早いと林道除雪が進んでおらずアプローチでの疲労度が大きくなる。林道の距離が長いのでここでの雪質も問題で、ここでラッセルだと体力的に日帰りで山頂まで届かない可能性が大。時期と雪質の見極めは難しいが、他の記録からすると今回のように4月に入ってからでは遅すぎるようである。残雪期の澄川は水量が多く渡渉は困難でスノーブリッジは必須。この点だけは覚えておいて欲しい。

 

都道府県別2000m未満山行記録リスト

 

日付順2000m未満山行記録リスト

 

ホームページトップ